着物を着たキャラのジャンルが増えたこともあるので、自分がしている着物の袖のボーン設定について簡単に説明しようと思います。
jointの設定は別に記事を書いていますので、そちらをお読みください。
一応、着物などのセットアップが初めての方用の説明になります。
着物モデルを作ったことのある方にとっては基本的な事しか書かれていないと思います。
↓のRead Moreアイコンから説明ページを開いてください。
着物の袖の設定ですが、袖に物理を入れると、おそらく袖の腕部分に捩りボーンのウェイトものってしまっていて、腕を捩じった時に一緒に捩れて変な動きになったりするとこがあると思います。
そうならないようにするための方法になります。
※あくまでも自分がしている方法です。
主にするのは以下の内容です。
①IKボーンを作って、着物の袖の腕部分のウェイトを乗せ換える。
②袖が捩れないために袖専用の親IKと剛体を作成する。
③袖の物理を入れる。
③は①の前にしても問題ありません。よくわからないボーンを追加するよりも先に袖がそひらひら動くのを先に見たい人もいると思うので、先に袖の物理を入れて、後からIKボーンと剛体の追加でもokです。(後からIKと剛体を作る場合は、設定が終わった後に、並び替えをしてください)
この設定をする事で、袖の中で腕だけが捩りボーンのモーションを再現し、袖は腕や肘ボーンの動きのみの再現となります。(捻りボーンをくるくる回転させると、袖の中で手だけが回転します)
※モデルにボーンを入れた時点で捻りボーンが入っている場合は、捩りボーンのウェイトを塗るか、ボーンを一旦削除して腕と肘ボーンのみで塗って、あとから準標準ボーン追加プラグインで捻りボーンを追加してください。
ざっくりと図で説明すると、こんな感じです。
手首から下のボーンは、手を上げた時に袖口をずり下げたい時に入れるボーンと剛体になります。普通は入れません。(調整が難しいから)
初めて構造を見るとややこしいな、と思いますが、試した結果、自分はIKボーンを二段式にする形になりました。
腕IKを作っても腕を捩じると少しは影響を受けているような気がして、単純に袖から空回りするといいんじゃね? というアホな発想からです。(実際にそうなってるのかはわからん。そして他のモデラ―さん片がどうお考えになったのかは知りません)
親ボーンを移動ボーンにしているのは、特に深い意味はなく、静止画などで変な形になってたらボーン位置を調整してごまかせると考えたからです。
※ボーン名から左右の字を省いて 腕+ 肘+ で説明します。手首IKも省きます。必要なら追加してください。
①
まず最初に、袖のKIボーンをろく様が作成された「AddTwistCancelIK」というプラグインで入れます。
捩りキャンセルIKを作成するプラグインとなっています。
腕ボーンを選択してプラグインを実行したら、腕IK、腕+、腕IK先 という3つのボーンが作成されます。
腕と肘にIKボーンを追加したら、着物の袖のウェイトを、ウェイトボーンを置き換えるプラグインを使って置き換えます。闇鍋プラグインのVERTEXという項目にあります。
腕と肘ボーンから、腕+、肘+と書かれたボーンにウェイトを置き換えてください。
モデル表示のmodeをウェイトモード(D)と書かれたものに切り替え、腕+と肘+をクリックすると、ウェイトがきちんと転送されていたら、ウェイトが載っている部分が赤色に表示されると思います。
念のために腕と肘のウェイトが残っていないか確認のために、この二つのボーンもクリックしてください。
ウェイトの設定が終わると、腕と肘のウェイトは腕ボーンと肘ボーンに、袖のウェイトは腕+ボーンと肘+ボーンで塗られていると思います。
ボーンの親子関係は 肩(肩C)、腕+ 肘+ の順番になります。
②
次は袖用のボーン作成になります。
腕と肘のボーンをそれぞれ複製します。
ボーン一覧で該当ボーンを右クリック→追加→複製を最後尾に追加、で出来ます。プラグインなどで作っても問題ないです。
複製したらボーン名を書き変えます。ボーン名は自分でわかりやすいものを付けてください。説明では画像と同じ名前で解説します。
腕袖親、肘袖親と名前を付けたボーンをIK用に再度複製して名前から親を消して「腕そで、肘そで」という形に変更します。
腕袖親と肘袖親を移動ボーンに変更します。ボーンタブ開いて右側にある移動ボタンを押せば変更されて、リスト頭のカラーが緑色に変わります。(画像参照)
この二つのボーンの親設定を腕+と肘+に変更し、腕そでと肘そでを腕袖親、肘袖親に設定します。
次に腕そでと肘そででIKボーンを作ります。
腕そで+と肘そで+にボーン追従剛体を作ります。
袖に物理を入れたら、袖のボーンと剛体はこの腕そで+、肘そで+のボーンと剛体に繋ぎます。
これでボーン設置自体は終わりですが、このあとはいくつかの設定があります。
ボーンの親子関係がよくわからないという方は、一枚目の画像を参考に設定してください。
※袖の物理設定を先にしていた場合ですが、袖用の親ボーン一式が袖よりも下の並びになりますので、袖のボーンを丸ごと下へと移動してください。
ボーン設定をする時に親に当たるボーンが子ボーンよりも下になっていた場合、親ボーン名が赤く表示されてしまいます。親子関係に合わせて並び替えると、赤字が黒字に戻ります。
※MMDにモデルを読みんこんで動かした後に物理をoffにすると、物理が入っている材質が置いてけぼりになることがあります。
この時は、袖の親ボーン一式と袖ボーン全部の変形階層を1に変更してください。(ボーンタブページの右上、IKボタンの上に0と書かれている欄です)
これもボーンの親子関係や物理演算の順番とかに関係するそうです。(0から数値が増えるごとに物理演算に僅かな遅延が発生するらしいですが、視認できるものではないので、気にする必要はないようです)
これで一通りの説明は終わりです。
何かご質問などありましたらコメントかXのリプにでもお願いします。
あとは袖口が動くように物理を入れる場合ですが、これはボーンを入れるのは同じ要領です。
自分もまだ上手くは入れられないのですが、物理を入れたら綺麗に調整できないと動いた時に腕に食い込みます。
そして親に当たる剛体が子に当たる袖の剛体を支えきれないと、重力負けしてプルプルしたりします。
簡単に説明すると、
お母さん(袖口剛体)がたくさんいる子供(袖剛体)を支えて、更にお父さん(肘や手首剛体)がみんなが落ちないようにがっちりと支える。
という感じでしょうか。
軽い気持ちで設定して上手くできることもあるかもしれませんが、辺にこだわるよりは割り切った方がいいと思います。
ついでに自分なりに思うことなどについてざっくりと書きます。
袖の脇部分ですが、形状は作りやすい形でいいと思います。
着物って袖の付根は脇の位置ではなく、腰に近い位置だったりしますが、物理を入れた時の設定の問題もあるので、その辺りも考えた上で作ればいいと思います。
でも袖を脇よりも下で身頃に繋いだ場合ですが、その時は脇近くまで物理を入れない方がいいです。
これは脇の部分の付け根を少し下にした場合の画像になります。
こういう作りの場合は、体に近い部分まで剛体を入れるのではなく、間を開けて物理なしにしてウェイトを設定した方が剛体がかさ張らなくて楽です。
貫通をしないようにと考えると剛体を大きくしがちですが、脇部分は剛体を小さくした方が接触が減って荒ぶらないです。
あと女の子モデルを作ったりする場合ですが、袖は手首の下で閉じずに、開いている部分を長めに作って厚みを付け、袖そのものも大きめに作った方が見栄えが良いと思います。
男モデルはそこまで気にしなくてもいいと思うのですが、女の子モデルだと袖のひらみで華やかさがけっこう変わるような気がするんですよね。
最後に、着物モデルの物理は手こずるので、UV展開する前に一度物理テストをしてください。
どんな感じの動きになるかを一度見ると、見栄えや修正が必要な個所などがわかってくると思います。
テクスチャを書いた後に造形の修正をする事になると泣きたくなると思うので…
袖を作る向きもTスタンスで作る場合は少し後ろ向きに作った方がいいです。真下に作るとAスタンスに腕の角度を変えたら袖が胴体にめり込みます。
かなり長くなりましたが、これで終ります。
お付き合い、ありがとうございました。